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ついに来た!サンテレビの神戸アニメストリート報道を完全文字起こしして検討を加えていきますのよ

4月12日の取材開始からひと月を経てついに地元メディア「サンテレビ」からの第一報が5月11日のニュース番組「NEWS PORT」(21:30~)にて届きました。

番組では本件で初めてとなる岸建介・神戸アニメストリート代表へのインタビューが実現していて、ここに来てようやく渦中の人物の生の声を聞くことができました。

当初には稚拙な SNS 対応で火に油を注いだ岸代表ですが、サンテレビのカメラの前ではうって変わって冷静な様子で謝罪と反論を行いました。そういえば髪型と髭も若干メディア対応されているような…

サンテレビ報道部の皆様は最初のお仕事お疲れ様でした。引き続き取材をしていただけるように、サンテレビにはどしどしエールと反響を寄せて現場スタッフの背中を押していきましょう。

サンテレビの報道の要旨

  1. 岸代表、支払いの遅延について認める、(オープンから半年後の9月には早くも)売り上げが下がっていて御迷惑をかけた、とも
  2. 創作工房からの電話での不適切な対応については「適当にお答えはしてない」と否定
  3. 詐欺罪での立件は?専門家はただの「債務不履行」となる可能性を指摘
  4. 創作工房の請求金額に納得できない岸代表
  5. 淡路島ゴーカート経営者も岸代表の不誠実な対応を証言
  6. 岸代表は淡路島ゴーカートの請求について「レンタル期間と使用期間とに差があり支払うべき金額が確定していない」と持論を展開
  7. 神戸市の担当者にインタビューを実施、市は指導に消極的姿勢
  8. 「被害者の会」結成について岸代表は裁判で明白にしたい
  9. サンテレビは神戸市の適切な指導が求められている

ニュースの概要を伝えるテキストの変化

ところで放送を前にちょっとした行き違いがありました。放送当日の昼(12時36分)に出ていた概要を伝えるツイートが削除され、番組ホームページからも文言が一旦消えました。夕方になってテキストは復活しますが若干の表現の変更が行われたのでした。

サンテレビ【公式】からは「事前に作成した予告文章と放送内容に一部違いが出て来たため、表現を訂正する意味で一度取り下げさせて頂きました」とのアナウンスが20時19分にありました。

まさか昼の時点のツイートを見た方、例えば主要な株主である神戸市から横槍が入って再編集が行われたのでは?などと軽率なことは申しませんが。

報道の現場は様々な圧力がかかり力学が働く世界、まさに取材対象たるリアルな社会の合わせ鏡ではないでしょうか。そして視聴者の反響が届きますと現場では存外大きく話題になるとも聞きます。どうぞ「よくやった」「もっとやってくれ」の声をメディアに届けていきましょう。

サンテレビ【公式】おっ!サンLINEスタ の12:36のツイート

21:30【NEWS PORT】
オタク文化の発信地として多くのイベントを開いてきた長田区の「神戸アニメストリート」。 先月神戸アニメストリートに対し、イベントの売上金が振り込まれていないとネット投稿があり、次々と被害を申し出る声が上がった。街の活性化事業に包まれている闇に迫る

サンテレビ【公式】おっ!サンLINEスタ の20:13のツイート

21:30【NEWS PORT】
「オタク文化」の発信地として多くのイベントを開いてきた神戸市長田区の「神戸アニメストリート」。 先月、神戸アニメストリートに対し、イベントの売上金が振り込まれていないとネット投稿があり次々と被害を申し出る声が上がった。関係者に詳しく話を聞いた。

「神戸アニメストリート」報道の文字起こしと検討

いよいよ番組音声を文字起こしして引用いたします。この神戸アニスト問題を災害復興・地域活性化助成金に纏わる問題の「生きた教科書」として生かすべくテキスト化・資料化して検討を加えていきたいと思います。

引用箇所には適切な html タグを使用して出展と著作権を明示しております。

神戸市長田区の活性化事業としてオープンした神戸アニメストリート。 イベントを巡り発生している複数の未払いについて運営会社の社長が初めて取材に応じました。

岸代表「支払いについての遅延については本当にご迷惑かけた・遅れた、というのは事実であります」

騒動のあらまし

騒動の発端は先月6日、インターネット上での一件の投稿でした。「神戸アニストに詐欺られてる話」ブログを投稿したのは東京で映像コンテンツの制作などを手がける創作工房代表です。

投稿は神戸市長田区の商業施設にある神戸アニメストリートを運営する会社が行ったイベントで売上金のうち50万円が一年半以上振り込まれず結果およそ200万円の損害が出たという内容でした。 契約では創作工房がイベント期間中販売するグッズをアニメストリートに全て預け販売を委託、 イベント終了後にアニメストリート側から売り上げが振り込まれる予定でした。しかし…


9月が過ぎても明細がこない。

10月末、振り込みなし。

振り込んでいただけますか?と聴いたところ「あー はいはいはいはい」と電話を切られる。

中村代表「2、3ヵ月に一遍メールを送って電話は結構まめにしてたんですけども、ブログでも書いたようになぜかうちの会社の電話番号でかけると話し中になってしまい、他の番号でかけて店員さんに繋いで頂こうとするんですけど、留守ですと言われ、というような形の繰り返しです」


神戸アニメストリートは神戸市長田区の活性化事業として一昨年3月にオープン。 市も設立から1年間の家賃補助として700万円投じてきました。 長田の街からアニメや漫画などいわゆるオタク文化を発信する拠点として期待を集めて来ましたが。

本件をずっと見てきた私ですが、50万円の商品代と150万円の補償金という内訳は初めて知って面喰いました。そもそもの未払い額から実に4倍ということになります。とはいえ、素人考えですが150万円の内訳を次のように推測しますとべらぼうな請求ではなさそうです。

  1. 催促の電話・メール・内容証明郵便といった事務手続き手数料
  2. ハラスメント等への慰謝料
  3. 売れ残ったグッズの返還が遅れたことで商機損失の補償
  4. ここまでの請求の1年半分の遅延利息金
  5. 専門家への謝礼

正しくは被害者の会より情報があるかもしれません。現在創作工房社長の note の「幕間ひとりごと7 200万のお話」 で内訳が公表されています。大きなところでは未払いによって創作工房のキャッシュフローがショートし「100万どころじゃない損害」が出てしまったそうです。私の勤務先も自転車操業でして他人ごとではございませんのよ…

どうぞ皆様は企業間の取引も個人間のものもくれぐれも誠実に臨みましょう。

詐欺罪での立件は可能か?藤本尚道 弁護士の意見

「神戸アニストに詐欺られてる話」というブログタイトルをうけて番組では、果たして詐欺罪に当たるのか?専門家の意見を求めています。2008年に音楽オーディション詐欺で起訴・逮捕経験のある岸代表、そんな彼に対して「被害者の会」はどんな戦いを仕掛けるのでしょうか?

連絡がつかない状態が続き支払いが滞ることは法的にどのような問題があるのでしょうか?企業間の未払いを巡るトラブルに関して専門家はこう話します。

藤本尚道 弁護士「最初から払う気があったのかなかったのか?大変重要なポイントなんですよ。 一番最初の契約時点で騙してやろうという気持ちがなければ実際に詐欺罪は成立しないんですよ。 契約の時点ではきちんと払ううつもりがあった、ところが途中で経営というか営業上の問題点があってお金がうまく回らない。 そのために払えなくなった、こういうのはただの債務不履行になっちゃうんだね。」

請求金額に納得できない岸代表

これについて岸代表は請求金額に納得ができない、と訴えます。

岸代表「うちがですね、売り上げが下がっていたというので御迷惑かけたというのが一番重要なとこだったんですけど 遅れた金額というのが正直50万円ていう支払いが遅延しておりました」

サンテレビ記者「創作工房さんのブログの中には支払いの催促をしても“ちょっと無理”とか“はいはい”といって電話を切られるみたいなことがあったんですけどそういうことに対しては」

岸代表「適当にお答えはしてないんですけども一度ですね2016年の3月に創作工房社長さんと顧問を名乗る方から連絡がありまして迷惑料と利息を含めて200万円払え、というかたちのご連絡がありました。 その時に対してこういった金額は払えませんと、そこに対しては拒絶をしたという形になっています。」

請求額の妥当性については岸代表側に交渉の余地があることは勿論です。とは言え複数被害者による会が発足し法廷で争うまでこじれますと、岸代表側にはかなり不利になりませんかねぇ…

オープン半年で資金ショート!『神戸ポップカルチャーストリート企画』で事業計画を担当したアップ・ツー・コーポレーションの逃げ得

ところで岸代表は「神戸アニメストリート」オープン(2015年3月29日)の半年後には早くも「売り上げが下がっていた」と吐露しています。そんな岸代表を神戸市に紹介(テナントリーシング)したのは株式会社アップ・ツー・コーポレーションになります。

アップ・ツー・コーポレーションは『神戸ポップカルチャーストリート企画』を提出して「アスタくにづか地区商業活性化モデル事業者」に決定(2014年11月7日)しています。この案件で企画・立案、事業計画、テナントリーシング、内装監理を行いました。この「事業計画」とはどのようなものだったのでしょう?

神戸アニストが僅か半年で陥った資金ショートについて「事業計画」を行ったというアップ・ツー・コーポレーションの責任はないのでしょうか?

アップ・ツー・コーポレーションの岡島祐輔社長は「神戸アニメストリートの開業を以って当社の業務は完了」とネットメディアの取材に回答しています。開業から半年後、一年後の神戸アニストにアップ・ツー・コーポレーションは何ら責任を負わないということでしょうか?

神戸市とアップ・ツー・コーポレーションの間でどのような契約が行われ「事業計画」を含むどのような成果物が市に対して納品されたのか?

税金を投入して行われる災害復興・地域活性化の事業は成功にしろ失敗にしろ、その知見は市民に共有されるべきもののはずです。神戸市のみなさん、ことの成否に関わらず情報開示が不十分という時点で情報公開請求しましょう!

実はあたしとっても興味があるんです、人通りが少なくて極めて商売の難しいあの地区に賑わいを呼び戻す起死回生の素晴らしい「事業計画」とやらに。

まさか6000万円の予算を使い切るために仕組まれたデキレースに後から乗っかって、ポエムみたいな文書片を納品して何百万か貰ってフェードアウトした。なんてことはありませんよう、祈ります。

一般にこの手の案件に喰いつくゴロツキのコンサルは巧みに予防線を張ってヤリ逃げするとのこと。御商売がお上手で結構なことですわ。ちなみに私の勤め先の社長は「そろそろアカンかも、覚悟しといて」と言い出す始末、もう少しうまくビジネスしていただきたいものですわ。

創作工房への謝罪と支払いが行われる

一方、創作工房の代表が最初のブログを投稿してから一週間、多くの目に触れたことでそれまで連絡のなかったアニメストリート側から謝罪が。

中村代表「“支払いに関するお詫び”というものを頂いておりまして 全額をお支払いするのは極めて難しいです、と。資金調達に奔走しております、と。4月の20日に一度支払い、残りを5月末に支払いをしたい、という旨の書面が本日付で届いてます。」

数日後、結局全額が支払われたということです。

岸代表「実際にご迷惑かけてるとこ、ていうとこに対しては既に連絡を差し上げて真摯に対応しております。 50万円に対しましては4月の半ばにはすべてお支払いを完了しております。」

「結局全額が支払われた」が50万円のことなのか?200万円のことなのか?自信が無かったため中村社長に確認いたしました。全額が支払われたのはグッズ売り上げ代金の50万円とのことでした。200万円の支払いは必要無いと伝えたうえで、岸代表側の誠意ある対応で諸経費や遅延金の支払いを待っている状態とのことでした。

弊社は50万のお支払のみで「200万をお支払する必要はありません」と4月8日にお伝えしております。ですので50万はお支払いただきました。また諸経費は「誠意を持って対応する」としたあとに「支払う必要がない」というような理由で遅延金含めお支払いただけないようです。

淡路市のイベント会社経営者への取材と神戸市役所への取材

アニメストリートからの未払いがあると訴える人はこの他にも。

会社経営者「やり出しから待ってくれと、少し支払いを待ってくれと。」

淡路市でイベント会社を経営する男性は一昨年アニメストリートにイベント用の機材を貸し出しました。 しかしイベントから2年近くが経った今も200万円余りの未払いが発生しているということです。

会社経営者「小さいお金ですね、一万円程度のお金なら払う、でも大きいお金は一切払わないていう。 で、アポ取っても、会いに行ったとしても居ないとか。だから無理やりアポ無しで行くしかない。」

これに対して岸代表はイベントが途中で中止になったためレンタル期間と使用期間とに差があり支払うべき金額が確定していない、と話しています。


現在は補助金の助成は終わっているものの最初に事業内容を選定をした神戸市は。

サンテレビ記者「まずこの今回のこのブログへの投稿という件に関しては把握はされていたんでしょうか?」

神戸市市街地整備課 浅川一哉 課長「書き込みについては承知しております。個別の対応ということになりますので、そういうことについてはどうする・こうするということはちょっとコメントしにくいなぁ、といったところでございます。」

番組内では名称が伏せられていましたが、淡路市ゴーカートへの取材になります。より詳しい報道は『「神戸アニメストリートは踏み倒すのに慣れているので」―― 売上は全く支払われてない、被害者オーナーが激白』を参照ください。

淡路市ゴーカートに対する未払いの理由について「レンタル期間と使用期間とに差があり支払うべき金額が確定していない」との主張がナレーションで伝えられました。なんとも独特な理論に思われ、ここはぜひ岸代表の肉声で伺いたかったところです。

神戸市の姿勢は既にネットメディアや創作工房社長の note で言及されている通り極めて消極的なものでした。今回は担当者様のニュアンスが電波に乗ったことをもってまずは良かったとしましょう。

まずは双方の主張が出揃う、補助金を出した神戸市は適切な指導を

一方創作工房は同様の被害を受けた業者が他にもいるとして被害者の会を結成する、としています。

中村代表「これで支払って一年半経ってたまたま私がブログに書いてここまで公になったから私の分だけ支払う、ということで今回の件は終わりじゃないと思っているんです。」

双方の意見が食い違う今回の騒動、岸代表は司法の場で自らの意見を述べたいと主張しています。

岸代表「逆に被害者の会っていうのを起てられるっていうことであれば司法に委ねることになると思われますので、そうなりますと全て事実が明白になると思いますので うちとしてはその方がいいのかな、と思って居る部分もあります」


ご覧の通り双方の主張は平行線のままとなっています。 民間と民間の問題とは言え神戸市の補助金が出ている事業ですので市の適切な指導が求められているのではないでしょうか?今日の特集でした。

さて、既にひと月以上この問題を見てきている私からすればサンテレビによる第一報は随分と抑制されたものでした。ところで私は神戸アニストの問題を次の3点に整理しています。

  1. 岸代表による取引企業と従業員への未払いとハラスメント
  2. 「事業計画」を行い、岸健介氏を神戸市に紹介したアップ・ツー・コーポレーションの責任
  3. 神戸市がオープン直後からクレームを放置し指導を怠ったため被害が拡大した問題

今回はこのうちの 1 と 3 について取材が行われました。この問題が引き続き取材され補償の完了を見届けられますよう願います。また、クールジャパン・ポップカルチャーを入り口とした「エデュテイメント」として私たちを育んでくれることを願っております。